もた記

日常のあれこれ。好きなもののあれこれ。

韓国で親知らずを抜いた話🦷

生まれて初めての抜歯を、海外で経験することになった。

 

 

少し前から、親知らずが気になっていた。

生えかけた親知らずが押し上げるせいで歯茎が痛んだり、口の奥の方の皮を噛んでしまったりして、いつか抜かなければならないのかなぁとはぼんやり思っていた。

 

 

そんな時、右側の下に生えていた親知らずが突然痛み出した。

親知らず自体も痛いのだが、その前に生えている奥歯や歯茎までズキズキと痛みだし、生理用に常備している痛み止めを飲んでなんとか授業を受けられるという状態に……。

これは流石に限界だと思い、勇気を振り絞って歯医者に行くことにした。

 

 

近所の歯医者をネットから予約し、授業後に向かう。もちろん気持ちは重たい。元々歯医者が嫌いなのに、まさか留学先で行くことになるなんて。

 

 

歯医者に到着すると、まず問診票を記入した。

名前と、症状、その他にはアレルギーの確認など、記入内容は日本とあまり変わらない。住民登録番号もしっかり記入する。

韓国では住民登録番号という、日本でいうマイナンバーのようなものがかなり浸透している。わたしたち外国人もこの番号を持っている。韓国では半年以上滞在している外国人は国民保険加入が義務なのだが、病院などでこの登録番号を伝えるだけで保険加入を確認し、利用できるので便利だ。

 

 

問診票を渡し、ドキドキしながら待っていると、名前を呼ばれた。

 

 

まず案内されたのはレントゲン撮影の部屋。

歯科助手のテキパキとした指示に従って、言われるがままレントゲンを撮った。驚いたのは、その場で「今日、抜歯したいですか?」と聞かれたこと。

日本であればおそらく診察してから、抜歯をした方が良いか、しなくても良いかの判断を医者にされると思うのだが、まさかの診察前から自己判断。

一瞬迷いと恐怖があったが「痛いので抜きたいですね……」と答えた。その後、抜歯をするのであればCTも撮るとのことで、同じ部屋でCT撮影まで済ませてから、お馴染みの歯医者の椅子に案内された。

 

 

椅子に座ると、目の前のモニターに先ほど撮影したレントゲンなどが映し出され、親知らずの状態を軽く説明された。

痛かった親知らずは縦に生えており、しかも歯茎に埋まっているわけでもなく、比較的抜きやすいこと。虫歯が多いので、他の親知らずも抜いてしまった方が良いこと。特に反対側の下の親知らずは横向きなので、少し抜歯が大変であること……。

今回は右側の下の親知らず ( 痛かった部分 ) と、その上の親知らずを抜くことになった。

日本でしっかりと歯医者に通ってこなかったことを後悔した。

 

 

説明を受け、抜歯のための同意書にサインをした。

「ほとんどありませんが、神経が傷ついて痺れが残ってしまうこともあるので……」なんて説明をされ、苦笑いしながらのサインだった。恐怖を煽られる。

 

 

説明を受け、少し待っていると医者がわたしの隣に座り、早速抜歯の準備に入った。

基本的に口の部分だけ穴が空いた、紙のようなものを被され、目も閉じているように指示されるので、何も見えない状態なのだが、ふと目を開けたタイミングで麻酔注射が目に入り、泣きそうになった。めちゃくちゃ怖かった。形が。

 

 

大丈夫だ……大丈夫だ……と言い聞かせながら目を閉じ、口を開けると、早速注射されていく。

わたしが外国人だからなのか、注射の針を刺すタイミングで「チクッとしますよ〜はいっチク〜ッ!チク〜ッ!」と注射されていくのが面白かった。子どもになった気分である。

『麻酔注射は痛い』と噂に聞いていたのでかなり構えていたのだが、注射よりもよっぽど、それまでの親知らずのズキズキの方が痛かったので我慢できた。

麻酔は初めてだったのだが、痺れて頬が固まったような変な感覚だった。注射のすぐ後にうがいをしたのだが、うまく水を吐き出せなかった。

 

 

麻酔が効いてきたら、いよいよ抜歯である。

口を開け、目を閉じて、何かが口の中に入ってくるのを感じる。気になって一瞬目を開けようとしたのだが、歯科助手に「目閉じて!」と注意されたので、何も見ることができなかった。

上の抜歯は本当に一瞬だった。1分もかかっていないと思う。「上、抜けましたよ」と医者に言われ、思わず「え?」と声が出てしまうくらい早かった。

下の抜歯は上よりは時間がかかっていたが、それでも縫うところまで含めて3分くらいだったと思う。

今まであんなにわたしの口内を苦しめてきた親知らずが、こんな一瞬で消え去ってしまうことに驚きだった。こんなことならさっさと抜いておくべきだった。

 

 

ちなみに抜歯の最中は全く痛みを感じなかった。麻酔は本当に偉大である。( わたしが抜歯をする数日前に別の病院で抜歯をした友人は、麻酔がうまく効かず激痛だったと言っていた。麻酔の効きにも個人差があるのだろうか )

 

 

抜歯の後はガーゼを2時間程噛んでおくように言われ、痛み止めと抗生物質、うがい薬を処方され帰宅した。

 

 

このガーゼを噛んでいる2時間が地獄だった。

 

 

歯医者を出た直後は、正直とても気分が良かった。話に聞く程キツくなかったし、余裕だな!と思っていた。麻酔が切れてくるまでは……。

帰宅のためにバスに乗っている最中、抜歯した部分の鈍痛が始まり、バスを降りる頃には痛みで涙が目に溜まっていた。歯医者を出て、バスを降りるまでに約30分。麻酔が切れてくるのってこんなに早いのか……!?と半泣きになりながら、バス停から家まで早歩きで帰宅。

帰宅した瞬間痛み止めを飲みたかったのだが、処方された痛み止めは食後に飲む強いタイプのものなので、ここで飲むのは怖かった。その他の痛み止めも家になく、ガーゼを噛み締めながらひたすら耐える2時間だった。机に座り「痛いよぉ……」と呟きながら泣いた。久しぶりに泣いた。

 

 

2時間経って、ガーゼを取り、麻酔が少しだけ残っていて痺れがあったが、処方された痛み止めを飲むために、ゼリーをほぼ飲むように食べ、痛み止めを飲んだ。痺れやゼリーの美味しさよりも、痛み止め優先である。

 

 

その後は医者に言われた通りに生活し、薬を飲んでいれば、なんの不便もなかった。

痛みは、2日間ほど続いたが、痛み止めの効果が切れてきた頃に痛み出すのと、寝起きにズキズキする程度だったし、食事も問題なく取れた。

そして、全くと言って良いほど頬が腫れなかった。

親知らずの抜歯といえばパンパンにはれた頬のイメージがあったし、なんなら腫れた状態で写真を撮ってみんなに見せようとまで思っていたのに、本当に腫れなかった。

 

 

親知らず抜歯の記録、いかがだっただろうか。

もしできるなら、留学の前に親知らずを全部抜いてしまうことをおすすめする。それから歯の治療もきちんと済ませておくのが良いだろう。

わたしは親知らずのために歯医者に行ったが、虫歯もしっかり見つかり、少しの間歯医者に通わなければならない。

 

歯は大切である。

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